妊娠中の栄養ガイド
「何を食べればいいの?」「この食品は大丈夫?」 妊娠中の食事の不安を解消するために、厚生労働省の基準に基づいた10の必須栄養素・おすすめ食材・簡単レシピを整理しました。
🤰妊娠中に必要な10の栄養素
摂取量は厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版・2025年版)」に基づいています。 個人の状態によって必要量は異なりますので、かかりつけの医師や管理栄養士にもご相談ください。
妊娠1か月前〜初期が最重要
役割: 胎児の脳・脊髄の発達に不可欠。細胞分裂・DNA合成に関与
不足すると: 不足すると神経管閉鎖障害(二分脊椎、無脳症)のリスクが上昇
おすすめ食材
簡単レシピ例
- ●ほうれん草と卵のスープ(加熱は短時間で)
- ●枝豆ごはん
- ●ブロッコリーの温サラダ
水溶性で熱に弱いため、蒸す・短時間加熱が効果的。妊娠初期はサプリメントの併用が推奨されています。
妊娠中期〜後期に需要が急増
役割: 赤血球のヘモグロビンの材料。母体と胎児への酸素運搬に不可欠
不足すると: 不足すると鉄欠乏性貧血(疲労感、動悸、息切れ)、早産リスク上昇
おすすめ食材
簡単レシピ例
- ●牛肉とピーマンの炒め物
- ●あさりの味噌汁
- ●小松菜と油揚げの煮びたし
- ●ひじきの煮物
ビタミンCと一緒に摂ると吸収率アップ。食事前後30分はコーヒー・紅茶を避けると効果的です。
妊娠全期間
役割: 胎児の骨格・歯の形成に不可欠。妊娠高血圧症候群の予防にも関与
不足すると: 不足すると母体の骨密度が低下し、将来の骨粗鬆症リスクが上昇
おすすめ食材
簡単レシピ例
- ●しらすと小松菜のふりかけ
- ●豆腐チャンプルー
- ●切り干し大根の煮物
- ●牛乳を使ったシチュー
ビタミンDがカルシウムの吸収を促進します。加工食品に含まれるリンの過剰摂取は吸収を阻害するため注意。
妊娠全期間(後期に特に重要)
役割: 胎児の脳・網膜の発達に重要。神経細胞の主要な構成成分
不足すると: 不足すると胎児の脳・視覚発達への影響が懸念される
おすすめ食材
簡単レシピ例
- ●サバの味噌煮
- ●サンマの塩焼き
- ●鮭のホイル焼き
- ●ブリ大根
サケ・アジ・サバ・イワシなどは水銀の心配なく食べられます。大型魚は別途注意が必要です。
妊娠全期間
役割: カルシウムの吸収を促進し、胎児の骨形成を助ける
不足すると: 不足すると新生児のくる病リスク、母体の免疫機能低下
おすすめ食材
簡単レシピ例
- ●鮭の塩焼き
- ●きのこの炊き込みごはん
- ●しらすおろし
日光浴による皮膚での合成も重要。1日15〜30分程度の屋外活動が推奨されます。
後期に需要が大幅増加
役割: 胎児の体(筋肉、血液、臓器)を構成する基本材料
不足すると: 不足すると胎児の発育不良、低出生体重児のリスク
おすすめ食材
簡単レシピ例
- ●鶏の照り焼き
- ●豚しゃぶサラダ
- ●鮭と豆腐のちゃんちゃん焼き
- ●豆乳スープ
動物性と植物性をバランスよく摂りましょう。後期は1日75gが目安(鶏むね肉100gで約25g)。
妊娠全期間
役割: 300種類以上の酵素の構成成分。胎児の細胞分裂・DNA合成に不可欠
不足すると: 不足すると低体重児、味覚障害、免疫力低下のリスク
おすすめ食材
簡単レシピ例
- ●牛肉とごぼうのしぐれ煮
- ●納豆オムレツ
- ●アーモンドを添えたサラダ
牡蠣は亜鉛が豊富ですが、妊娠中は必ず十分に加熱してから食べてください。
妊娠全期間
役割: エネルギー代謝・赤血球の生成。B6はつわり軽減にも関与
不足すると: 不足すると貧血、つわり悪化、疲労感の増加
おすすめ食材
簡単レシピ例
- ●豚の生姜焼き
- ●バナナスムージー
- ●しじみの味噌汁
B12は葉酸と協力して赤血球を作ります。両方をバランスよく摂ることが大切です。
妊娠全期間
役割: 鉄分の吸収を促進。コラーゲン生成・免疫機能をサポート
不足すると: 不足すると鉄の吸収効率低下、免疫力低下
おすすめ食材
簡単レシピ例
- ●フルーツヨーグルト(いちご+キウイ)
- ●カラフルピーマンの炒め物
- ●ブロッコリーのツナサラダ
鉄分の多い食事と一緒にビタミンCを摂ると、鉄の吸収率が大幅にアップします。
妊娠全期間(便秘予防に特に重要)
役割: 妊娠中のホルモン変化による便秘を予防。腸内環境の改善
不足すると: 不足すると便秘の悪化、腸内環境の乱れ
おすすめ食材
簡単レシピ例
- ●きんぴらごぼう
- ●さつまいもの甘煮
- ●きのこの味噌汁
- ●オートミールのお粥
不溶性(ごぼう等)と水溶性(わかめ等)を2:1の割合で摂るのが理想的です。
📅妊娠期別の栄養ポイント
重点栄養素: 葉酸(最重要)、ビタミンB6
葉酸のサプリメント(400μg/日)が最も重要な時期。つわりで食べられない場合は「食べられるものを食べられる時に」が基本です。
おすすめの食事例
- ●冷やしたフルーツ・トマト
- ●レモン水・炭酸水
- ●少量ずつ1日5〜6回に分けて
重点栄養素: 鉄分(+9.5mg)、カルシウム、たんぱく質
鉄分の需要が急増する時期。胎盤が完成し、栄養バランスを特に意識しましょう。主食・副菜・主菜をそろえた食事がおすすめです。
おすすめの食事例
- ●赤身肉+緑黄色野菜の定食スタイル
- ●あさりの味噌汁+小松菜のおひたし
- ●しらすごはん+豆腐の味噌汁
重点栄養素: たんぱく質(+25g)、DHA、鉄分
胎児の急成長期。たんぱく質と鉄分の需要がピークに。子宮が胃を圧迫するため、1回量を減らし小分けに食べましょう。
おすすめの食事例
- ●鮭+納豆+卵の高たんぱく朝食
- ●サバの味噌煮定食(DHA補給)
- ●鶏肉と野菜のスープ(少量頻回)
⚠️避けるべき食品・注意が必要な食品
禁止摂取を避けるべき食品
アルコール
完全に禁止。胎児性アルコール症候群のリスク。少量でも安全とは言えません
生肉・レアステーキ
トキソプラズマ感染のリスク。胎児に先天性感染症を起こす可能性
非加熱のナチュラルチーズ・生ハム
リステリア菌感染のリスク。妊婦は胎盤・胎児感染から流産に至る可能性。十分に加熱すれば安全
制限量を控えるべき食品
大型魚(キンメダイ、メカジキ、クロマグロ等)
水銀の蓄積。1回約80gとして週1回まで。キハダマグロ・サケ・アジ等は制限なし
カフェイン(コーヒー・紅茶)
1日200〜300mg以下(コーヒー約2杯まで)。鉄分の吸収も阻害するため食事前後は避ける
レバー(ビタミンA)
妊娠初期の過剰摂取で催奇形性リスク。鶏レバー100gで約14,000μgRAE。週1回少量に
うなぎの蒲焼き
ビタミンAが豊富(100gで約1,500μgRAE)。週1回までが目安
注意気をつけたい食品
生卵
サルモネラ菌のリスク。新鮮なものでも加熱が安心
刺身・寿司
アニサキス等の寄生虫、食中毒菌のリスク。新鮮なものでも注意
昆布(ヨウ素)
日本人は過剰摂取傾向。毎日の大量摂取は避ける
ひじき(ヒ素)
小鉢1杯程度を週2回までが目安
💡つわり中の食事のコツ
食べられるものを食べる
栄養バランスはつわりが落ち着いてから整えれば大丈夫。この時期は食べられることが最優先です
少量を頻回に
空腹が吐き気を悪化させることがあります。1日5〜6回に分けて少しずつ食べましょう
冷たいもの・酸味のあるものが食べやすい
冷やしたフルーツ、トマト、レモン水などが受け入れやすいことが多いです
水分補給を最優先
脱水は危険です。水が飲めないときは氷をなめる、経口補水液を試すなどの工夫を
つらいときは産院に相談
体重が急減したり水分が摂れない場合は点滴が必要なこともあります。我慢しすぎないでください
🍽️1日の献立例(妊娠中期)
朝食
- ● ごはん+納豆(葉酸・たんぱく質・亜鉛)
- ● しじみの味噌汁(鉄分・B12)
- ● ヨーグルト+いちご(カルシウム・ビタミンC)
昼食
- ● 鮭の塩焼き定食(DHA・ビタミンD・たんぱく質)
- ● ほうれん草のおひたし(葉酸・鉄分)
- ● きんぴらごぼう(食物繊維)
夕食
- ● 牛肉とピーマンの炒め物(鉄分・亜鉛・ビタミンC)
- ● 豆腐とわかめの味噌汁(カルシウム・食物繊維)
- ● 切り干し大根の煮物(カルシウム・食物繊維)
間食
- ● アーモンド少量(亜鉛・ビタミンE)
- ● バナナ(ビタミンB6・食物繊維)
❓よくある質問
Q. サプリメントは飲んだ方がいいですか?
葉酸は妊娠1か月前〜3か月まで、食事に加えてサプリメントから400μg/日の摂取が厚生労働省から推奨されています。ただし1,000μg/日を超えないように注意してください。鉄分やカルシウムのサプリは、医師に相談してから始めましょう。
Q. お寿司や刺身は絶対に食べてはいけないのですか?
「絶対にダメ」ではありませんが、食中毒や寄生虫のリスクがあるため、妊娠中は加熱した魚介類のほうが安心です。どうしても食べたい場合は、新鮮なものを少量にとどめ、体調に注意してください。
Q. カフェインは完全にやめるべきですか?
完全にゼロにする必要はありません。1日200〜300mg以下(コーヒー約2杯、紅茶約4杯程度)なら問題ないとされています。ただし鉄の吸収を阻害するため、食事の前後30分は控えると良いでしょう。
Q. つわりで全然食べられません。赤ちゃんは大丈夫?
妊娠初期は赤ちゃんに必要なエネルギーはごくわずかです。食べられるものを食べられる時に摂れば大丈夫です。ただし、水分も摂れない状態が続く場合は必ず産婦人科を受診してください。
Q. ベジタリアン・ヴィーガンの場合、何に注意すべきですか?
ビタミンB12(動物性食品に多い)、鉄分、亜鉛、DHA、たんぱく質が不足しやすくなります。管理栄養士や医師と相談し、必要に応じてサプリメントで補うことを検討してください。
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妊娠中の栄養ガイド
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出典・参考情報
- [1] 厚生労働省. "日本人の食事摂取基準(2020年版)."
- [2] 厚生労働省. "日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書."
- [3] 厚生労働省. "妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針(令和3年改定)."
- [4] 厚生労働省. "魚介類に含まれる水銀について."
- [5] 厚生労働省. "リステリアによる食中毒."
- [6] 厚生労働省. "食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A."
- [7] 日本産科婦人科学会. "産婦人科診療ガイドライン 産科編 2023."
免責事項: 本ページは一般的な情報提供を目的としており、医療・栄養指導に代わるものではありません。 個人の健康状態・妊娠経過・アレルギーなどによって最適な食事は異なります。 具体的な食事指導については、担当の産婦人科医や管理栄養士にご相談ください。