妊娠中の体調トラブルと病気ガイド
妊娠中は体にさまざまな変化が起こります。 「これは普通?」「受診すべき?」と迷う場面も多いですよね。 このページでは、よくある体調トラブルから注意が必要な病気まで、受診の目安とあわせて整理しています。
⚠出血・強い腹痛・破水感はすぐ受診
妊娠中の出血、強い腹痛、破水感がある場合は、時間帯にかかわらず、すぐにかかりつけの産科に連絡してください。 夜間・休日で連絡がつかない場合は救急車を呼んでください。
🤰妊娠中に多い体調トラブル
つわり
妊娠5〜16週ごろ吐き気・嘔吐・食欲低下が代表的。多くは妊娠16週ごろまでに落ち着きます。水分も取れない・体重が急減する場合は「妊娠悪阻」の可能性があるため受診してください。
便秘・痔
妊娠全期プロゲステロン(黄体ホルモン)の影響で腸の動きが鈍くなり、後期は子宮の圧迫も加わります。水分・食物繊維を意識し、改善しなければ産科で相談を。
腰痛
妊娠中期〜後期体重増加と重心の変化、リラキシンというホルモンによる関節の緩みが原因です。骨盤ベルトの使用やストレッチが有効。痛みが強い場合は医師に相談を。
むくみ(浮腫)
特に妊娠後期血液量の増加や子宮による血管圧迫が原因。足を高くして休む、適度な運動が有効です。急なむくみ+頭痛・視覚異常がある場合は妊娠高血圧症候群の可能性があるため、すぐに受診してください。
貧血
妊娠中期以降胎児への鉄分供給が増え、母体が鉄欠乏性貧血になりやすくなります。立ちくらみ・動悸・息切れがあれば健診で相談を。鉄剤の処方で改善することが多いです。
🏥注意が必要な病気
妊娠高血圧症候群
要注意妊娠20週以降に血圧140/90mmHg以上、またはタンパク尿を伴う状態。重症化すると母子ともに危険です。頭痛・目がチカチカする・急なむくみがあればすぐに受診してください。
妊娠糖尿病
管理が必要妊娠中に初めて発見・発症する血糖異常。妊娠中期の血糖検査(糖負荷試験)で診断されます。食事療法が基本で、必要に応じてインスリン治療を行います。
切迫早産
安静が必要妊娠22〜37週未満に、規則的なお腹の張りや子宮頸管の短縮が見られる状態。出血を伴うこともあります。安静が第一で、状態によっては入院・点滴治療が必要です。
前置胎盤
管理入院の可能性胎盤が子宮口の一部または全部を覆っている状態。妊娠後期に大量出血のリスクがあり、帝王切開での分娩が基本です。出血があった場合は安静にしてすぐに受診を。
常位胎盤早期剥離
救急正常な位置にある胎盤が、分娩前に子宮壁からはがれてしまう状態。突然の激しい腹痛と出血が特徴で、一刻を争う緊急事態です。
🦠感染症に注意
妊娠初期(特に12週まで)に感染すると、胎児に先天性風疹症候群(心疾患・白内障・難聴)を引き起こすリスクがあります。
初感染の場合、胎盤を通じて胎児に感染し、先天性トキソプラズマ症(水頭症・脈絡膜網膜炎など)のリスクがあります。
上の子の唾液・尿などから感染することが多く、妊娠中の初感染で胎児に先天性CMV感染症(難聴・発達遅延など)を引き起こす可能性があります。
リステリア菌に汚染された食品から感染。妊婦は一般の人より約20倍感染しやすいとされ、流産・早産・新生児感染のリスクがあります。
🚨すぐ受診すべきサイン
以下の症状が一つでもあれば、すぐにかかりつけ産科に連絡してください。連絡がつかない場合は救急車(119番)を呼んでください。
- !性器出血(量にかかわらず)
- !強い腹痛・お腹が板のように硬くなる
- !破水感(水っぽいおりものが止まらない)
- !胎動の明らかな減少・消失
- !激しい頭痛・目がチカチカする(視覚異常)
- !38度以上の発熱
- !急激なむくみ(顔・手がパンパンになる)
出典・参考文献
- [1]日本産科婦人科学会. "妊娠高血圧症候群(HDP)の診療指針."
- [2]日本糖尿病・妊娠学会. "妊娠糖尿病の診断と管理."
- [3]国立感染症研究所. "先天性感染症(風疹・トキソプラズマ・CMV)."
- [4]厚生労働省. "リステリアによる食中毒について."
免責事項: 本ページは一般的な情報提供を目的としており、医療アドバイスに代わるものではありません。 症状に不安がある場合は、必ずかかりつけの産科にご相談ください。